今月も色々と気になる作品が多いですが、ここでは掲載誌「メバエ」の休刊からの復活を遂げた「イブのおくすり」を推したい！

掲載誌のメバエがちょっとえちぃ路線だった事も有り、本作もちょっとえちぃ作品。

なので恋愛感情と共に肉体関係も有り、そういう意味ではド直球の百合作品で、その時点でお勧めし易い作品－勿論、えちぃ作風が嫌いでなければ、ですが－なのですが、個人的なポイントはちょっとドロッとした感情も描かれること。

メインとなる学生：衣舞と保険の先生：由仁とのおねロリは、比較的ストレートと言うか衣舞が年齢差や友人である永南との関係について悩むなど、まだ比較的さっぱりしている印象なのですが・・・第2話で掘り下げられた永南の方は部活の先輩である馨と関係を持ちたいと熱望している辺りが生々しいです。

同じFLOWERCHILD先生の作品で百合姫掲載の「割り切った関係ですから。」もそうですが、本作もお互いを想い合うと言うよりはどちらかと言えば自分の感情を相手にぶつけるタイプの作品で、そこは好みが分かれそう。

ですが、だからこその尖った部分を楽しめるというのも事実。えちぃ作風が嫌いでなければ一読して見るのも良いかと！

今月も色々と注目作は有りますが・・・”気になる”という点で「レズ風俗アンソロジー」を挙げたいと思います。

今回話題にしたのは内容的に”レズ風俗”というテーマをどう料理するか？という点は勿論、どちらかと言えば好まれない傾向にある”レズ”という用語を用いた意図ですね。

昨今の状況を考えると”百合風俗”とした方が通りが良さそうな気がするというのもそうですが、KTC様での成人向けアンソロ「百合妊娠」に続いて刊行された「触手レズ」、「ガチレズ陵辱で快楽堕とし」がレズという用語を用いた途端に女性同士の関係を描くという観点からすると外した作品が多かったのが引っ掛かるところ。

まぁこれはあくまでKTC様での事例であり、百合姫(一迅社)発の本作とはまた事情が違うでしょう。

ただ、女性同士の関係という意味では百合もレズ(レズビアン)もかなり近い言葉です。

強いて言えばレズビアンは女性同性愛を指す＝明確に恋愛や性愛の感情を含む事が多く、百合はそれらが含まれなくても当てはまるという事なのでしょうが・・・それならば”百合”の方が意味合いが幅広く使いやすいはず。

それを”レズ”という用語を使うのは何故だろうか？と。百合という言葉では表現し辛いテーマ、作風でそれらをバッチリと表した言葉が”レズ”であると言うならば、それはそれで良いのですが・・・。

先ほども書いた通り、KTC様ではレズと付いた途端、微妙にずれた作品ばかりになったアンソロがある事を考えると「どんな作品になるだろう？」という期待と不安のある作品。

願わくば、良い意味で百合とレズという言葉のイメージを分けるような、そんな作品になって欲しいところです。

今月注目の作品もどれを選ぶか難しい－「あのキス」が終了する事などもあって－ですが、先月末からの百合アンソロラッシュの流れと個人的な好み(笑)で「バニラ Vanilla 人外×人外百合アンソロジー」、「シナモン Cinnamon 人外×人間百合アンソロジー」を推したいと思います！

電撃系発の百合アンソロという事で販促のためか電撃G'sコミック様で出張掲載(2019年3、4月号に掲載)されており、それを読んだ限りでは質の高いバリエーション豊かなエピソードが読めるという印象ですね！

ある程度、具体的に書くと(敬称は略させて頂いています)

  バニラ Vanilla 人外×人外百合アンソロジー  

• うちの妹が腐女子になりまして(あさがお)

姉妹百合からスタートで、まさかの妹がゾンビ化＝ゾンビとの百合展開に！コメディチックながら、きっちり百合百合している辺りは流石でした(笑)

• ようこそ動物園BAR(みんたろう)

夜になると動物が人間化する動物園を舞台にヒメウォンバットとタスマニアデビルの娘が出会うエピソード。

両種の習性や特徴が二人(二匹？)の恋模様に絡められており、新鮮な面白さが有りました。あと見方によっては病んでいる感じもするのが個人的には◎(笑)

• 死神と愛染めのロウソク(武川慎)

死神ととある人外との百合。人間相手に依頼を受けて寿命(ロウソク)を貰う死神の娘。そんな事をするのは愛しい娘のため・・・というエピソード。

武川慎先生の持ち味である耽美かつちょっとえちぃ雰囲気が非常に好印象。



ただ、短編作品としては設定が込み入っている事が伺え、そういう意味ではそういった裏設定などが明かされる機会が確約されていないのは残念。

  シナモン Cinnamon 人外×人間百合アンソロジー  

夜になく鳥たち(寝路)

山を守る鵺と山に探索にきた女の子(女子大生？)のエピソード。王道な展開で読み易く、万人向けという印象でした。

告白(みずあそう)

化け猫と女子学生のエピソード。短編という事もあって細かい設定は省かれているものの、元々友達同士である事や化け猫と分かると嫌われるかも知れない、という恋愛エピソードにおける普遍的な心の動きが織り込んであるのが良かったですね。

とべたらいいな！(水谷悠珠＆かえで透)

白鼠族”チューコ”と竜族”ドーラ”の百合。空を飛ぶという無謀とも言える願いを叶えようとするチューコとそんな彼女の想いに共感するドーラ、というのが大まかな内容。

絵柄と相まって童話のような味わいの作品でしたね。

恋鬼(竹宮ジン)

鬼(紅葉)と女学生”みちる”の百合。人間に化けていた紅葉とみちるとの百合・・・見せてかなり意外な展開へ突入するエピソード。

いや、紅葉(鬼)とみちるとの百合、という意味では終始一貫しているのですが・・・ラストは中々に衝撃的でしたね。

同居人は人魚(嵩乃朔)

表紙にもなっている人魚(アナスタシア)と人間の娘(ナナコ)との百合。モチーフは人魚姫だろうという事でシリアス寄り・・・かと思いきや、コメディ寄りな作風でしたね。

とは言え、恋愛感情という意味では真面目に展開されるため、読み易く好印象です！

以上でしょうか～。勿論、これが全てのエピソードでは無く、他の先生方のエピソードが収録されています。

アンソロなので作風の好みは有りますが・・・伊藤ハチ先生や天乃 咲哉先生など著名な方が参加されている事などを考えると、一つは響くエピソードが有ると思われ、テーマが好みなら是非チェックして欲しい作品だと思います！

余談ですが、百合姫発のアンソロも今月刊行予定。どちらを推すか迷いましたが、個人的には人外というテーマに惹かれたので(笑)

今月は百合アンソロが大豊作と言える状況なので、その中でも個人的に好みな「White Lilies in Love BRIDE's 新婚百合アンソロジー」を推したいと思います！

もう今回はこの一言ですね(笑)

とは言え、ここで終わるのはどうかと思うので、ちょっと語らせて貰うと、参加される先生方の中に「ゆりこん」の久川はる先生がいらっしゃるのがポイントと言えばポイントでしょうか。

と言うのも、百合と結婚・・・正式に婦妻となっている事を前提＆テーマにした長期作品は「ゆりこん」が、目立つ形になっていたと思うんですね。

となると、カドカワ様が百合＆結婚(新婚)アンソロを企画したのは、それに触発されて・・・という可能性も有るんじゃないかと。

もしそうなら、やはり何だかんだで百合姫コミックの与える影響は大きいのかも知れません。

とは言え、こうしてカドカワ様も百合作品をどんどん刊行されている状況ですので、百合漫画作品を主導していくのはどこの出版社か？というのは百合ジャンルにおいて今年のテーマの一つになるかも？ですね。

今月も色々と注目したい作品が多いですが、今回は「リリウム・テラリウム」を推そうかと。

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リリウム・テラリウム - pixivコミック | 無料連載マンガ

本作でまず目を引くのは独特なカラー表現。

独特と言っても尖っている感じは無く、様々な恋模様・・・友情っぽい関係から切ない関係までを描きつつも爽やか印象を与える本作には非常に合っていると思います。

がっつりストレートに恋愛・・・イチャイチャしている感は薄いですが、だからこそ恋愛未満の状態の感情の百合を上手く表現されており、そういったもどかしい感じが好きなら、かなり響くかと。

一つだけ留意する点としては男性と付き合っているというキャラが居る事でしょうか。まぁそうは言っても男性キャラは登場しませんし、そういった彼氏が居るという点すらも上手く百合として料理されているので、それほど大きな問題では無いかと思いますけどね。