訪問者様より百合要素有りの小説として「不良聖女の巡礼」を教えて頂いたので話題に。(情報ありがとうございます!)
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不良聖女の巡礼 追放された最強の少女は、世界を救う旅をする|株式会社オーバーラップweb掲載版(小説家になろう)
訪問者様から頂いた情報では”周りの女性キャラたちの情緒が乱されて、嫌いだけど認められたい、好きだけど見合わなくて不安、自分が諦めた理想を掲げられて苦しいといった重い感情を抱いてしまう百合”との事で、取り急ぎweb版を”海から来た獅子”まで読んでみましたが・・・「確かに!」と納得できる内容でしたね。
具体的にはまずキャロルとコンビを組んでいく形になるエリカ。邪竜の呪いを解くために自力で邪竜討伐を成すためにキャロルに稽古を付けてもらうのですが、その中でキャロルの能力と人格に惚れ込んでいくように。
キャロルの旅に同行しようと言う時はまるで”告白の返事を待つ乙女のように”とも作中で描写されており、かなりニヤニヤさせてくれます。また当のキャロルの方もエリカのひた向きさなど彼女の人格的な美徳に強く影響されており、百合的には勿論、純粋な物語としても重要な要素となっています。
と、ここまでは王道的な百合要素なのですが、能力的には無敵とも言えるキャロルとの格差の前にエリカは色々と思い悩むようになってしまい、そういう意味ではイチャコラしているだけの百合ではなくなっていくので、この辺りは好みでしょう。・・・刺さる人にはかなり刺さるかと思いますし、そうして思い悩んだ末にキャロルと共に二人の関係性を改めて認識していく展開はかなり美味しいですが。
そしてキャロルの学生時代の友であるマリアベルとも百合的な関係性が有ります。当初のマリアベルは友人であるとしながらもキャロルを陥れる側であり、当のキャロルも学園を去る際には「すました顔をぶっ叩いてやる!」とまで言っています。
が!物語が進むにつれてマリアベルが何故に作中で”悪女”とまで呼ばれるほどに権謀術数を巡らせるような言動を取るようになってしまったのか、そしてキャロルへを陥れるような行動を取った理由とその心情をキャロルへ語るシーンの百合度はかなり高いと思います。
総じて、不愛想でありながら結局は博愛とも言える行動を取るキャロルへの好意と反感や劣等感がない交ぜになった感情を抱いてしまう百合という構図になっており、こうした相反する感情を有する百合が好きな人にはたまらないでしょう。
物語的にも”光の聖女”が重要なテーマとなっているのですが、強い光を当てれば陰もまた濃くなるという事を暗示しているようで中々に唸らされる物が有ります。
と、恋愛的なニュアンスでは無いものの信頼や友情、それに伴う反感や劣等感など様々な感情が入り乱れる百合としてはかなり良いのですが、男性キャラも絡むのがネックと言えネック。
訪問者様も言及されていましたが、現時点では男性キャラ達のいずれかがキャロルとくっ付く可能性はかなり低いですし、本作の百合の主成分であるエリカとの関係もそういう意味では希薄。
ですが、キャロルに複雑な感情を持っているという意味で百合要素であるマリアベルやメリッサには、いかにも”お相手です”という感じの男性キャラが登場しており、百合好きとしてはその辺りは中々に複雑。
百合が前提の作品では無いので、その辺りに云々言うのは見当違いなのは分かっているんですけどね(苦笑)
上記の点と現時点では完結していない=どういう形で決着するか分からないという点を踏まえさえすれば、訪問者様の情報通り百合的に楽しめる作品だと思いますし、純粋にお話としてもキャラ達の複雑な感情と追い詰めれている世界観ゆえの緊張感が有り面白い作品だと思うので、一読をお勧めしたいです。