以前に訪問者様より教えて頂いた・・・かなり時間が空いてしまいましたが(汗)「あの子の秘密」を読んだので話題に。
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まず読み終えてみて本作をざっと纏めるならファンタジーな要素・・・心を読める能力というファンタジーな要素(超能力)を交えつつ、”心”を巡る友情の物語という印象でした。
本作ではメインの女の子それぞれに秘密・・・明來(あくる)には触れた人の心が見える(個人的には”読める”では無い所がポイントだと思います)、小夜子には黒猫という自分だけが見れる友達(作中ではイマジナリーフレンドでは無いか?とされているものの正体は明言されず)がいるという秘密を抱えています。
この秘密は明來と小夜子に取って助けになる一方で辛い想いをさせる一因となっています。心が見えるというのはちょっと想像を働かせばそのマイナスな要素は見えてきますし、小夜子もふとした事が切っ掛けで自分だけの見えない友達がいるというがバレてしまい、それが元でからかいの対象となった事が原因で心を閉ざし黒猫以外の友達を持とうとはしなくなってしまいました。
こうした要素は往々にしてマイナスであるもの、正さなければならないものとされる事が多いですが、本作では無理に矯正する物ではないという展開になっていくのは何だかほっとしました。
特に小夜子の黒猫はイマジナリーフレンドの一種では?とされている事もあり、子供から大人になる過程でそれらは消えていくのが一般的である事もあって、黒猫は必要無いとされるかも?と思って読んでいた身としては、最後まで小夜子の良い友達として扱われその友情がずっと続いていくと思わせてくれたのは嬉しかったです。
また”心”についての考察も非常に丁寧になされている・・・特に後述するクラスメイトの少女”美咲”の博識な兄”咲人”と明來が心について話すシーンは漫然と考え、捉えている「心とはどんな物であるか?」という事を立ち止まってじっくりと考える良い機会を与えてくれたと思います。
と、物語的な事を簡単に書きましたが、肝心な百合要素について少し語ってみましょうか。
まず基本的には明來と小夜子の友情でしょう。出会った時には人を遠ざけていた上に、人の心が見えるが故に誰にでも程よい距離感で接して仲良くなれてしまう明來を不審に思う事もあって毛嫌いしていた小夜子が、とある事が切っ掛けで明來や他のクラスメイトと仲良くなっていく様は普通に友情として微笑ましいです。
また明來が心が見える能力でもって小夜子の心の深い所まで潜っていくという展開は―こうした能力がテーマの作品だと良くある展開ながら―二人の仲が強く深まったと感じさせますし、物語的にはその際に消えて行こうとする黒猫の気持ちについて知るシーンは非常に印象的でした。
勿論、この時点で友情百合という意味で非常に良いのですが、管理人に取って印象的だったのは二人のクラスメイトとなる”櫻井 美咲”ですね。
物語の上でも”心”について深い考察を行ったくれた兄”咲人”と明來とを会わせてくれた(正確には電話での通話ですが)という点で重要な娘なのですが、百合的にもその意外性で百合好き・・・要は管理人の心を打ってくれました!
最初は心を見た明來から”花に擬態したハナカマキリのよう”と身内には優しいが敵と思った者には容赦無いタイプであり典型的な悪役と思わせておいて―実際にそういう面はあるものの―裏で何の見返りも求めずに小夜子を助けていたと言うのがね!
まぁその手段が小夜子をからかいの種にした子を”友だちに手をまわしてその子をはぶった”という辺りが上記の明來の印象が間違っていない事の裏付けでは有るんですが(汗)
とは言え、自分に擦り寄る相手だけを優遇する訳ではない美咲を見て明來も”美咲の事を分かっていなかった”と思う辺りは、恐らく心がテーマであろう本作の面白い点の一つですね。
で、ここまでなら美味しいと思いつつもそこまで強い印象を残さなかったのですが、後日小夜子と仲良くなった明來に対して「ねえ、私さ、負けないからね」って言うんですよ!!
明來に「なにが?」と問いかけられて本人曰く「秘密」と答えていますが、当然これは小夜子への想いでしょう。
それを裏付けるようにこの直後の描写で美咲は小夜子に”表情に余裕がない”、”顔はわずかに赤くなっている”といった態で小夜子の読んでいた本について尋ねているんですよね~。
まぁ流石にここで恋愛感情だとするのは百合脳人間乙ですが(笑)、クールな印象が強かった美咲が緊張しながら小夜子と仲良くなろうとする姿はかなり印象的でした!!
ちなみに余談ですが小夜子の読んでいた本が「魔法使いのアルペジオ」というのはニヤリとさせてくれますね。
※同じ作者様の「りぼんちゃん」でも同じ本が登場します。刊行順としては「りぼんちゃん」が後発ですが
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「りぼんちゃん」を読んで見ました!百合的には恋愛感情と明言されている訳ではないですし、テーマ的には”心”を中心として明來と小夜子が自分の過去を向き合って成長して乗り越えていくというお話です。
そのため百合的にはやはり百合をメインテーマにした作品に比べると控えめな印象ですが、友情という意味で非常に良質ですし、何より普通に物語として面白く好印象です。
それに個人的には上述したように美咲が印象的で、今後は明來と小夜子を巡って和気藹々としつつも取り合っていくんだろうなと思うと色々と想像が膨らみます!(爆)
ちょっと切ない面も有りますが、最終的には温かい気持ちで読み終える事ができましたし、あくまで友情百合を楽しむという姿勢ならば強くお勧めできる作品だと思います!
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