(あ)姉の親友、私の恋人。

4.5
漫画漫画百合的感想 あ~お行
百合要素の傾向恋愛、姉妹
全体的な傾向直球な表現は控えめながら、しっかり恋愛
著者藤松 盟
巻数全4巻
公式サイト【公式】姉の親友、私の恋人。: X
関連サイト 姉の親友、私の恋人。|カドコミ (コミックウォーカー)
姉の親友、私の恋人。|pixivコミック
備考

本当の気持ちは、何も言えない――。【高田憂希×桑原由気】

短評
  百合要素について 小説のような静かな恋愛物語  

タイトル通り、主人公である聖奈が姉である優奈の親友であり元恋人であった菊と恋仲になっていくのが物語のメインテーマであり、百合要素。

と、こう書くとセンセーショナルと言うか、かなり劇的な物を感じさせますが、二人の恋愛は非常に穏やかで静かな形で育まれていく事になります。

「姉の親友、私の恋人。」第1話より
外国に居て帰国後は結婚するという優奈に告げる言葉としては衝撃的とも言える菊の言葉
ある種の当てつけのようにも見えますが、そこに黒い感情は無く、穏やかな恋路が始まります

とは言え、聖奈が姉の優奈に恋情に近い感情を持っていた・・・そのせいで姉との距離感を測りかねて無気力な状態に陥ってしまっていたこと、そして姉の結婚を知る=失恋してしまった事でその落ち込みは深いです。暗く重い展開にこそならないものの、その立ち直りは辛いものを漂わせます。

「姉の親友、私の恋人。」第2話より
二人の恋路、という点では非常に穏やかな本作ですが、聖奈の感情や気持ちという点では非常に辛い葛藤が描かれます(特に前半)
百合的には美味しい部分であると同時に純粋なストーリーとしては読んでいて辛い部分でも有ります

であればこそ、その立ち直り、そして聖奈と菊、そして優奈が”家族”であると認識していく様は物語として、そして百合恋愛ストーリーとして味わい深い物となっています。

  お話自体について 劇的な表現は少なく聖奈の仕事や人間関係など静かな日常の変化が描かれる  

お話としては聖奈と菊の恋愛ストーリーであると同時に・・・もしくはそれ以上に聖奈の姉:優奈への感情の整理とそれに伴っての社会復帰(小説を始めとした文筆業への復帰)のストーリーとなっています。

菊の仕事場の話も有りますが、菊は順調に仕事をこなしている事や職場の人間関係も良好と言える事から、やはり印象に残るのは聖奈の方であり、ストーリーのメインであると言えます。

作家・・・特に個人的な印象だと漫画家は担当編集との軋轢などがテーマになる事が多い印象が有りますが(汗)、本作では小説家である聖奈についた担当:丸川さんは聖奈に対して好意的であり、穏やかに聖奈が仕事に復帰していく様が見られます。

「姉の親友、私の恋人。」第14話より
聖奈が休業状態だった時に、あまり積極的に関わって来なかった担当の丸川さん
ただ、それは彼女が不器用だっただけで含む事が無かった事が語られます

「姉の親友、私の恋人。」第14話より
丸川さん、上記の話の流れを受けて、自身の事を取材&書いて行きたいと言われて「胸熱」という言葉がある辺り、やはり聖奈に対して好意的である事が分かりますね
・・・当の聖奈に「意外な人」と言われている辺り、やはり色々と感情表現が不器用なのでしょう(汗)

百合要素でもある姉への感情の整理という点では読んでいて辛い面も有りますが、菊の支えは勿論、こうした仕事関係でも聖奈に対して温かな人たちが多いお陰で重々しくならずに聖奈の立ち直りを見守っていられるでしょう。

  注意点について インパクトの大きい表現、シーンは少なめ  

百合的には聖奈の姉への恋(と言って良いでしょう)は実らず、優奈と菊は別れている。そういう意味ではちょっと厳しい展開があるとも言えますが、菊と聖奈はしっかりと恋愛感情を育てていきますし、聖奈の優奈への想い、優奈が菊に向けた感情を確かめていく展開も百合要素であると言え、そういう意味では注意点と言える点は無いです。

強いて言えばインパクトの大きい表現、シーンは少ない・・・劇的な要素や展開がほとんど無い事でしょうか。

菊と聖奈はしっかりと恋愛感情を育ていくと書きましたが、恋愛ストーリーでは見所の一つになる事も多い身体的接触・・・要はキスやそれ以上の”絡み”はほとんど描写されません。

勿論、精神的な描写を重視した作風が悪い訳では有りませんが、やはり身体的接触は分かりやすい愛のサインの一つなので、人によっては物足りなさを感じるかも知れませんね。

「姉の親友、私の恋人。」第15話より
聖奈の気持ちが固まり切っていないという事も有りますが、物語が終盤に入ろうという時期でもかな~~り健全なお付き合いをする菊と聖奈
直球なイチャラブが好きな方にはじれったく感じる面は有るかと(苦笑)

またストーリー自体も大きな事件や騒動に発展する事は無いため、刺激的なストーリーを好む方には物足りないかも、です。まぁ逆に言えばそれだけに心穏やかに楽しめるストーリーであると言え、好みの問題になるとは思いますが。

  結論について 静かな作風や心の動きを辿る物語が好みなら強くお勧め  

全体的に静かで心情的にはともかく絵面としては穏やかな描写と展開をする作品で、聖奈が小説家だから・・・なのかは分かりませんが、文学作品のような雰囲気を感じさせる作品だと思います。

そのため絵面のインパクトより心の機微や葛藤、人間関係を静かに見つめる・・・そんなストーリーが好みならば強くお勧めできる作品と言えるでしょう。

逆に注意点でも述べたように刺激的な作品が好みな方にはちょっと物足りないかも知れません。とは言え、百合という点では問題は全く無く、そういう意味では安心して楽しめる作品なので刺激的な作品が好きな方にも一読して頂きたい作品では有りますね。

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