| 百合要素の傾向 | 恋愛 | |
|---|---|---|
| 全体的な傾向 | ややシリアスながら、所々で笑える心理描写あり | |
| 著者 | 入間 人間(著) 横屋敷 ぷしお(イラスト) | |
| 刊行巻数 | 全3巻 | |
| 公式サイト | ||
| 関連サイト | 作者様公式サイト 入間の間/入間人間のすべて?がここに!(入間人間/電撃文庫・電撃の新文芸) – カクヨムコミカライズ掲載サイト 【第1話前半】人妻教師が教え子の女子高生にドはまりする話|カドコミ (コミックウォーカー) | |
| 備考 |
「人妻教師が教え子の女子高生にドはまりする話」第1~3巻 表紙より
百合的にも物語としても樹と凛のお話である本作。それを象徴するように表紙も一貫して二人のツーショットで飾られています
真面目で優しい、善良と言える教師”苺原 樹”。そんな彼女が教え子で女子高生である”戸川 凛”に手を出してしまう=不倫をしてしまう。
道徳的にも法律的にも問題な行動を取ってしまう・・・そうした”道を踏み外す”行動の原因は作中曰く「好きな人が、できました」。
ストーリーと百合要素を突き詰めていくとこれ以上もなく単純な展開と関係に帰結する、分かりやすい物と言えるでしょう。
と、ここまで書くと、シリアスな純愛モノのようですが・・・いやまぁ実際にそうした面はちゃんと有りますが、割と重苦しくない展開や描写も多く、そういう意味では非常に読み易いです。
なんせ樹は酔っ払いになった挙句に凛に用を足す手伝いをしてもらうという醜態をさらしちゃいますし(爆)、事がある毎に自虐する・・・自らを淫行教師と罵るもののどうもその様は読者視点だとコメディチックです(笑)
また樹はそれこそタイトル通りに心身ともに凛に”ドはまり”していく訳ですが、心の部分では親、姉妹、恋人・・・あらゆる面での愛情を凛に向ける―嫉妬という汚いとも言える感情も含めて―一方で、身体の方もドはまりします。
入間 人間先生の爽やかな描写のお陰で生々しさは薄めながら、やっている事は「あれ、これってKTC様の百合ラノベだったけ?」と思うほど。
例を挙げると”学校で隠れて胸を揉み合う”、”樹が凛のスカートに顔を埋める”、”学校で凛が樹の手をスカートの中に導く”等々。先述したように描写は控えめながら、内容そのものはかな~~り際どいです。
お陰で樹は凛から「中学生の私にも手を出しそう」と言われ、実際に「手を出しそう」と思って見たりと、そのドはまり振りのお陰で何だかクスっとしてしまう描写も多く、内容の際どさと裏腹に笑いの下地になっている点は面白いですね。(勿論、湿度の高い艶やかな雰囲気のまま展開していく場面も有ります。)
いずれにせよ、樹も凛もお互いに心身ともに重いとすら言える愛情を抱いており、百合的にはかなりニヤニヤ出来る作品と言えるでしょう。
お話自体について 不倫モノであるが、重苦しさは薄め
お話としては不倫モノでありますが、重苦しさは薄め・・・どちらかと言えば母から放置されている形になっている凛の心情の方が重いくらいで、不倫による重苦しさは薄いです。
どちらかと言えば、お話の軸は漫然と結婚生活と教師生活を送っている樹が”好きな人が出来た”という、初恋とも言うべき恋愛感情を覚えた事による変化でしょう。
若さに溢れる凛は勿論、色々なしがらみがあるはずの樹が凛への愛情で突き抜けていく・・・そんな物語であると言えますね。
注意点について 不倫モノである=夫の存在
あくまで樹と凛の物語であり、ボリュームの点でもそうであるため個人的には注意点らしい注意点は感じませんが・・・客観的に見れば不倫モノである=夫の存在は注意点になり得るでしょう。
ただ、作中で樹の心情として繰り返し出てきますが、夫婦としては表面を取り繕っただけで破綻していた・・・夫は作者様公式サイトでも言及されているように”良い人”であったため樹を傷つけるような行動こそ取らなかったものの夫婦としての関係は早々に終わっていたため、百合的にマイナスに感じる要素はかなり薄いです。
第3巻で夫の心情が描かれいますが、それが逆説に百合要素を高めている・・・自分と居る時よりも凛といる方が妻(樹)が魅力的な表情しているなどの描写がされていて、個人的には好印象でしたが・・・この辺りは個人の好みもあり、判断が分かれるところでしょう。
あと言及すべき点があるとすれば、樹の状況は色々と厳しい要素が有りますが、そうした点についての問題は最終的にぼかされている感はあり、リアリストな方には不満が有るかも知れません。
夫との関係は作中では決着を付けていますが、未成年である凛と関係を持つという法律的に問題がある点に関してはどう決着したのかは曖昧な感があるので。
結論について 不倫要素などに拒否感が無ければ非常にお勧め
樹と凛の気持ちを関係性に言えば純愛とも言えるレベルでお互いを求めあっており、そう意味では非常にお勧め。
注意点としては不倫という要素があるでしょうが、個人的には夫婦間の関係は子供がいなければ当人同士で勝手にやれば良いだろうという考えなので、そこは気になりませんが・・・ここは判断が分かれる所でしょう。
あとは凛が未成年であると言うのが大きいですが、そこはあくまで物語である事や樹はその点に関しては―結果の描写は曖昧ながら―罰せられる覚悟を決めていること、そして凛の人生に対して責任を持つ覚悟も決めているので、個人的には嫌な印象は無いです。
とは言え、ここも好みが分かれる所ですが(苦笑)
そうした点を除けば、百合的にはかなり楽しめる作品と言え、非常にお勧めです!
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※関連作
1巻と同時期に刊行されており、奇しくもかなり近いテーマの作品となっています。ただ、こちらはプラトニックな感が強く、近いテーマながら対照的な作品となっており、そうした意味でも同時期に刊行されていたのは面白い偶然ですね





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