これまでにもちょくちょく出版されてきた"百合"をフィーチャーしたムック本。結論から言えば
丁寧な作りで名前通り"百合(漫画)入門"としては好印象。ただ思う所もあり
でしょうか。
まず紹介されている作品は百合姫コミックス、ひらりコミックス、KADOKAWA系の作品を中心に手堅く纏まっており、冒頭にも言及した通り百合漫画の入門を勧める作品として概ね問題は無いラインナップ。
まぁ偏りが有ると言うか、「何故○○が無いんだ!」という面は有りますが、それは後で述べます。
"入門"という事で、よく訓練された百合好きの方に取っては物足りなさもあるでしょうが、百合好き声優 橘田いずみさんや著名な百合漫画家である仲谷 鳰先生、 缶乃先生、くずしろ先生、森永みるく先生、玄鉄 絢先生のインタビューは見所。
特にインタビュー記事を読んでいて思うのは改めて「マリみて」の偉大さを感じさせられる(笑) のと、百合作品を作る上での拘りは有っても百合作品を楽しむ上での拘りは無い って事でしょうか。
この辺りはくずしろ先生のインタビューでうんうん頷きましたね~。「お前が作品を好きでいてくれたら、私はもう十分だよ」 は至言だと思います。
あ、あと缶乃先生曰く「「あのキス」の好きなカップリングをツィッターで教えて貰えたら励みになる」 との事なので、是非是非お伝えしましょう!
ちなみに管理人は雪奈&十和子ペアと紗和&いつきペアが首位争いをしている感じ ですかね(笑) 勿論、全てのペア(カプ)に良さが有りますが!
と概ね楽しめた「百合の世界入門」ですが、冒頭にも書いた通り、思う所も。
まず作品紹介のラインナップが"百合漫画の入門を勧める作品として概ね問題は無いラインナップ。"という気持ちに偽りは無いものの、やや偏りがあると感じられる点。
百合姫、ひらり系の作品を中心に組むのが手堅いのは十分に分かりますし問題も無いと思いますがきらら系作品・・・ぶっちゃけ芳文社系の作品がほぼ無いのは疑問を持たざるを得ません。
確かにきらら系作品は"百合"という単語を前に出している作品は意外と少ないですが、それでも芳文社はつぼみコミックスを出していましたし、「桜Trick」も有ります。
捻くれた見方をすると意図的に芳文社系の作品を締め出して構成したのでは無いか・・・ そんな風に思えてしまうのは残念なところです。
もう一つ気になるのはタイトル。
冒頭で"百合(漫画)入門"という表現をしましたが、本当に漫画作品にしか言及が有りません。 (インタビュー記事で多少、他媒体の作品が話題になりますが)
そのため「百合の世界入門」というタイトルから漫画以外の媒体・・・アニメ、小説(ラノベ)、ゲーム等々の様々な媒体の百合作品について幅広く知る事が出来ると思って読むと拍子抜けしてしまうでしょう。
本としてのクォリティは満足出来ますし紹介文などに詳細は書いてはありますが、誤解を招かないよう漫画作品に特化した内容である事を示すタイトルだった方が良かったのでは無いか、とは思いますね。