電子書籍による百合小説。近代に似た世界設定ながら魔法が存在し、魔法によって稼働するドールが居る世界が舞台であり、ゴシックな雰囲気の中にもSFチックな要素が有ったりと様々な要素があるのが魅力。
古城と少女吸血鬼、そこに迷い込む訳有りの少女。
舞台が近代に似た世界設定という事もあり王道な吸血鬼百合ものかと思いきや、ある種のSF的な要素もあり非常に面白いです。
また古城の主であるリリー、迷い込んだ少女ブレティラ双方に抱えている秘密があり、それもまたサスペンス的を要素が醸し出しており、そこはお話として◎
肝心要の百合要素ですが、愛は勿論、人間的な感情や理解すら乏しかったリリーがブレティラに惹かれていく様は非常に良いですね。見方によってヤンデレっぽい展開も有りましたし(笑)
ただ一方で気になる点が二つ。
一つはリリーのお相手であるブレティラの言動。彼女は自身の言動によってリリーをかなり危険な状態に追いやってしまいます。
リリーの事を愛している事は確実ですし、彼女の優柔不断とも言える言動がリリーを追い込んでしまった事はきちんと言及されています。
が、これは人によってはちょっとイライラさせられるかも知れません。
まぁこの点はリリーの方もブレティラに譲歩しなかった点が多く、おあいことも言えるかも知れませんが・・・リリーの境遇を考えると、やっぱりブレティラが譲るべきと思ってしまう(苦笑)
もう一つは最終的に明るい結末を迎えたものの、それがやや強引に見える事でしょうか。
まぁこの点も伏線が張ってある&キチンと説明があるので「ええ!?」という程では無いのですが、「おおう、そう来たか」という感じでは有ります。
個人的には少々強引でもハッピーエンドの方が好きなので好みでは有りますが、人によっては気になるかな、と。
ブレティラとリリー、双方ともに「そこを譲れば即解決するよね」といった話をするので、ちょっと焦れったいと言うかイライラする瞬間も有りますが(苦笑)、キッチリと百合展開&謎が提示され解き明かされていく面白さが有ります。
明るい結末だった事も有り、安心して読める作品ですね。