WIXOSSシリーズの新作であり、時系列的にも続編とも呼べるお話。
今回は「自身の記憶を操作できる」という非常に微妙な勝利報酬な上にデメリットばかりのセレクターバトルに参加させられるという、かなりキツい展開。(最後に詐欺みたいな結末を見せられる前回のセレクターバトルも大概でしたが)
百合的には確実に楽しめるものの救いの無さが前作以上、男性キャラの出番も多いなど、人を選びそうな要素もある作品と言えますね。
お話のメインは幼馴染であり大親友であったすず子と千夏の関係とその感情の変遷。
特に千夏のすず子への感情は相当に拗らせており、当初はすず子の自身への憧れが負担に感じて嫌っていたのかと思いきや、すず子が好き過ぎて自己嫌悪に陥ってすず子を遠ざけたがるという捻くれっぷり。
その感情が炸裂する11話~12話は百合好きに取っては必見。
また対するすず子の方も千夏から散々言われても諦めずに千夏に食い下がる辺り、すず子も相当に千夏が好きですね。
お蔭で改めてお話を振り返って見ると「今回の話ってすず子と千夏の壮大な痴話げんかだったんじゃ・・・」って気にさせてくれます(笑)
翻ってお話として見るとセレクターバトルに敗北すると人格が消える(セレクターバトルの相棒であるルリグに乗っ取られる)というキツい展開があり、前作が ―劇場版を加えてとは言え― 全体的に救いのあった結末であった事を考えるとかなり憂鬱な面が有ります。
裏で暗躍し人を陥れるような事を繰り返してた里見はともかく、追い詰められた挙句に優しい性格が災いして消えていった勝君や白井君は相当に哀れ。
百合好きとしては千夏に想いを寄せていた白井君は複雑な気持ちに成らざるを得ない存在でしたが、百合前提の作品では無い事を考えると流石に可哀想です。
また粗暴かつ卑怯な振舞いであったために同情されないタイプの墨田もセレクターバトルに”巻き込まれた”のであれば哀れなヤツだとも言えます。(墨田が参加した経緯はよく分からないですが)
あと個人的に気になったのは前作の参加者であった清衣の描写でしょうか。
彼女の物語はコミック2冊分のボリュームであった事を考えると、今作でそれを説明しつつ今回のセレクターバトルを戦い続ける理由・・・特に里見の打倒を目指していた事を語るにはちょっと尺が短った感が有ります。
特に視聴感想でも言及しましたが、彼女にはアミカという大切な存在が居る。
その娘との記憶を失うリスクを犯してまで戦い続けると言うのは相当な決意があったと思うと、そこはもう少ししっかり見たかったと思うところです。
と言う訳で、お話としてはややスッキリしない感は有りました。(一応、続編が予定されているようですが・・・今作だけで見れば、スッキリ解決していない事が多いので)
ですが、百合的には・・・特に千夏の拗らせ具合は個人的にはかなり好みでした!(笑)
消えてしまった人達は哀れですが、メインとなったすず子と千夏は十分に救いのある結末を迎えたので百合好きとしては大満足。
尺としてはあまり描写されませんでしたが、それぞれのルリグ・・・すず子とリル、千夏とメルの関係性も百合要素が有り、その点でも好印象。
シリーズ物という事で前作や関連作品と合わせて楽しんで行く事をお勧めしたい作品です。(他のシリーズ作品も大なり小なり百合要素があるので、そういう意味でも安心ですw)
当サイトの以前の記事
「Lostorage incited WIXOSS」 各話感想 – 百合ゲーム時々、他事語り公式サイト
TVアニメ『Lostorage incited WIXOSS』公式サイト
前作での清衣の活躍を描いた物語 こちらをチェックした後で今作の清衣を見ると、また違った見方が出来るかも