2019/10/10 記事を追記、修正
3カップル3つの百合ストーリーをバイノーラル録音を使用した演出で描いた百合ドラマCD「秘密の花束」。ちょっと分かり辛く感じた所もあり、ざっとですが感想を記事にしようかと。
公式サイト
百合ドラマCD「秘密の花束」 - AxelaStar
通販サイト:該当ページ
百合ドラマCD「秘密の花束」 - オムニショップ
DL販売ページ
秘密の花束:DLsite
公式サイトでは
この作品は、登場人物それぞれの視点で物語が紡がれています。登場人物の視点に立って語りかけられているかのような感覚がもたらす、バイノーラル録音ならではの、物語への没入感をぜひお楽しみください。
とあったため、どういう形式なのかちょっと分かり辛かったのですが(管理人の読解力が低いだけかも知れませんが 苦笑)、実際に聴いてみると
バイノーラル録音と通常録音を組み合わせたドラマ形式のCD。
ざっくりと言ってしまうとちょっと変わった形式のドラマCDですね。
バイノーラル録音自体は音声作品でよく使われる形式ですが、その場合の多くは聴き手が主人公である事がほとんど。翻って本作は登場人物それぞれの視点で物語が紡がれています。 というコンセプトを実現するために、そのパート(トラック)の主人公となるキャラが通常録音、お相手がバイノーラル録音という形式となっています。
では本作の基本的な形式が分かった所で、それぞれのストーリーのざっくりとした感想をば。
天樹&久叶海 学生百合の王道 天樹の可愛さに久叶海が惚れるのが良く分かる(笑)
第1話となる天樹&久叶海のカプは内向的な天樹と活発な久叶海という王道的なカプ。
お話としても走る久叶海に憧れを持っていた天樹が、ひょんな事から放課後一緒に勉強する流れになって・・・と言う物で、ストーリーとしては王道で大きな捻りは有りません。
が!天樹が自身の想いを思わず久叶海に吐露してしまってからの流れが非常に良いと言うか、天樹がメチャクチャ可愛い&その後の久叶海の言動が(o^-')b グッ!
具体的には、まず天樹のある口癖を久叶海がからかうシーンが有るのですが、そこで天樹が照れながら「んんんん!!!!/////」と久叶海を叩くのが、もうね、バイノーラル録音効果もあって”なに、この可愛い生き物”としか言えなくなりますヨ(笑)
で、久叶海は久叶海でそんな天樹にムラムラしちゃったのか、想いを確かめるためとしてハグからキスまで要求とメッチャぐいぐい迫っているのが(*´Д`)
全年齢向け作品である事は勿論、二人の関係性もあって艶やかな所までは踏み込まない、あくまで微笑ましい&可愛い関係と展開になりますが、可愛さを出しつつもドキドキさせてくれる展開は非常に秀逸でした!
ちなみに余談ですが、久叶海役の長妻樹里さんは「ゆゆゆ」のイメージが強いので、そんな長妻樹里さんボイスの久叶海がグイグイ迫っているのは何だか新鮮で、そういう意味でも楽しかったです。
栞&六花 ”匂い”を上手く使った展開で二人の未来に想像が広がる
学校の屋上で隠れてタバコを吸ったりなど先生としては少々だらしない栞と真面目でちょっと初心な六花とのカプ。
年下でしっかり者と言える六花が、からかわれつつも栞を窘めると言うのが二人の関係性の基本。
ちょっと恥ずかしい事を口走らせようとしたり、不意を突いて抱き付いたり、”六花”と下の名前で呼んで見たりと栞の六花へのスキンシップだけでも十分に萌えられますが、終盤の六花がタバコの匂いを切っ掛けに栞の失恋を見抜いた後からの展開が非常に素晴らしい!
あまり詳しく言うと興ざめになるので控えますが、本エピソードは”匂い”が重要なテーマの一つで、それを上手く使って六花が栞のためにあるお願いを叶えてあげること、そしてその流れで「名前で呼ぶのは”まだ”禁止です」という展開が・・・もう!!
カップル未満からのスタートという意味では天樹&久叶海と同じなのですが、二人がカップルになるまでの展開に色々と妄想出来るという意味では趣深いエピソードでした!!
絢&波留 実は平凡な王子様と漢前な美少女のカプかと思いきや・・・?
見た目がボーイッシュなために”王子様”と騒がれるも心身ともに平凡だという絢と”天才少女”とまで言われるほど優秀な波留とのカプで、既に恋人同士となっているのが上記2カプとの大きな相違点。
序盤は、波留と出会った時の絢は迷子になって震えていたと言う過去が明かされたり、波留は「何があっても絢の事は、私が守るもの」と言い切って見たりと、実は平凡な王子様と漢前な美少女のカプ・・・百合姫コミックスの”かわいいあなた”みたいなお話かな?という印象でした。
もうかなり前の作品ですが、今読んでもやっぱり良い百合短編集だと思いますね。ちなみに上記で例に出した”かわいいあなた”のあかねさんは本当に(精神的に)漢前で印象的でした
が!お話が進むにつれて波留が感じている息苦しさや憂鬱感を吐露するようになり、実は波留の方がドップリと絢に依存し甘えている事が分かるようになって行きます。
それはもう見方によってはかなり酷いレベルで「どうすれば絢とずっと一緒に居られる?」、「学校は息苦しい~将来のレールが息苦しい」、「もう駆け落ちしちゃおっか」等々のセリフのオンパレード。
この辺りで「あ、この娘、かなり面倒臭い娘だ」と分かって来るのですが(苦笑)、ここで素晴らしいのが絢がそんな波留を全面的に受け止めている点!!
波留の面倒臭い言動に真剣に、真摯に応えていく・・・例えば波留との結婚を-彼女の立場と年齢なりに-真剣に考えていたり、彼女との駆け落ちを本当に実行しようとしたり。
作中で波留も突っ込んでいますが、絢の年齢や立場、能力では波留の要求に応えきれるかは疑問です。ですが、波留の要求もとい想いに応えようとする、実行しようとする”決意”は本物だと感じさせてくれます。
そう、絢という人は王子様では無いかも知れませんが、波留の王子様たらんとしている人であり、それを端的に表したセリフ「凡人の私が、天才の君を好きになったんだ。無茶をしなきゃ一緒に居られない」は本当にカッコ良かったです。
と、こう書いていくと波留がただ面倒臭いお姫様みたいですが、ちゃんと自分と絢の状況を理解し、絢の事も考えられる人です。
じゃあ何で上記のような面倒臭い事を言うんだって? そりゃあお姫様ってそういう物でしょう?(笑)
結論 どのカプのエピソードもちょっと意外な面を見せてくれたのが良かった
百合を前提にしている事や百合作品に出演経験のある声優さんが参加されているなど、ある程度の良さは約束された作品では有りました。
ですが予想以上に楽しめた・・・特にどのエピソードも当初の印象とはちょっと違った意外な展開やキャラの一面を見せてくれたのが非常に良かったです。
また、どのエピソードも結末はハッピーエンドと言って差し支えない展開でしたし、そういう意味でも安心。それぞれのカプが中心にエピソードが展開するという形式の事もあり、「りりくる」シリーズが楽しめるならば本作も楽しめるかと。(まぁ「りりくる」は糖度がかなり高めてありますが)
記事執筆時点では販路がオムニショップ様に限られているのがネックと言えばネックですが、純粋に作品としては是非お勧めしたい作品の一つですね。
※2019/10/10よりDLsite様にてDL販売が開始されました。