※旧サイト(FC2ブログ)より転載、修正、追記
さて、今回は「あるゾンビ少女の災難」の続編である「あるゾンビ少女の入学」を語ります。
正直、百合的には厳しい展開になっていると言わざるを得ませんので結論から言います。
百合目的で読むのはもちろん、作品的にも前作の続編と思って読むのは厳しい
では詳細に語っていきましょうか。
まず百合要素ですが、見るべき所が全く無い訳ではありません。
ユーフロジーヌが前作で死闘を演じた相手である眞子に想いを馳せるシーンやヒロインの一人である穂稀が親友の瑠佳を傷付けられて激昂し自分の身(命)も顧みず敵に立ち向かうシーン、ゾンビ少女の一人がある女性に強い友情を感じていた事などは見所だと思います。
が、作品の趣が学園男女ラブコメと言った雰囲気になっていること、上記のシーンはⅡ巻でのごく一部であることなどを考えるとそれほど楽しめるとは言えないです。(前作では主役の一人と言えたアルマはほとんど登場しませんし)
少なくとも完全百合目的で読むにはコスパが悪過ぎますね。
ではストーリー的にはどうでしょうか。
先述した通り"続編"と思って読むと、あまりに作品の趣が異なり違和感が非常に強いと思います。
決して面白く無い訳では無いのですが・・・やはり"続編"だと思うと別モノ感が拭えない。正に、これ何て聖闘士星矢オメ)ry ゲフンゲフン!
射手座の黄金聖闘士になった古谷さんボイスの星矢で思う存分戦えるのは嬉しいですが。
冗談はともかく本当に変更点が多いです。順に挙げていくと
- 主人公が実質的に変更されている
- 世界観、設定が変更されている
- 描写の変更
- アルマの言動
今回、”指宿孝晴”という男性キャラが登場するのですが、作品の多くがこのキャラの視点で描かれ実質的に主人公と言って良いポジションに居ます。
そのため前作の主人公ユーフロジーヌはヒロインの一人といった印象が強いです。またこの変更によって作品のジャンルとしては先述した通り、学園男女ラブコメとなっています。
しかも孝晴に対してヒロインのほとんどが恋愛感情、好意を持つという非常にラノベらしい学園男女ラブコメとなっていますね。
厳密には変更では無く"追加"というべきかも知れませんが・・・何にしろ前作では基本的に"ゾンビ"はユーフロジーヌだけだったのに対し、今作からはゾンビは(一般人には知られていないものの)当たり前に登場する上、案外簡単にゾンビ化する世界観、設定になっています。
そもそも学園の設定がゾンビを処理する"重殺士"の養成所で、それに協力する"協賛生"がゾンビという設定ですからね。
そのため"未知の化物"、"有り得ない存在"であるユーフロジーヌに殺されるかも知れないというゾンビホラーテイストだった前作とは凄まじい違いがあります。
前作を読まれた方ならご存知かと思いますが、前作での描写・・・特に人の死様や戦闘などの描写は凄惨なものでした。ユーフロジーヌと眞子のラストバトルに至っては互いに身体を削り合う凄惨極まるものでした。
正直、アニメ化の際にまともに描写できるか心配になるほどにr(^^;)
が、今回はそういった描写はほとんどありません。(そもそも人があまり死にませんし)
そのためか戦闘も前作のような"死闘"といった趣は無いですね。グロい描写が減ったので読みやすくなったとは思いますが、前作と同じような戦闘の盛り上がりを期待するのは厳しいです。
今回、ユーフロジーヌが"入学"する発端はアルマが役所に通報したせいなのですが・・・この経緯には少々違和感があります。
確かにいつ火あぶりにされてもおかしくない学園に入学する事をユーフロジーヌが受け入れるハズも無く、半ばハメるような形で入学させたのは彼女らしいと言えば彼女らしいです。
が、しかし入学の目的である"遺物探し"をユーフロジーヌに丸投げというのは、流石に杜撰かつ冷淡に過ぎるのでは無いかと。
と言うのも火あぶり云々もそうですが彼女がユーフロジーヌであると言う事が露見すれば、その身体が錬金の秘奥であると言う事は勿論、前作での惨殺事件の関与を疑われる可能性もあり、自らの主人が危機的状況に陥る事は想像に難くありません。
ユーフロジーヌに携帯電話を与えたり脱出の手筈を整えていたりと対策は施していたようですが、それを考慮してもあまりに計画が杜撰過ぎると言わざるを得ませんし、そもそも携帯で連絡を入れられると言ってもアルマ自身は遺物入手の報が入るまで屋敷で待機していた訳ですから冷淡な印象は拭えないです。
またアルマの言動に違和感を感じる点はもう一つあります。
それは人間に対して、です。
今作、ユーフロジーヌと指宿孝晴は親交を深め、アルマもそれを認めるのですが・・・前作であれだけ人間に対して強い警戒感と敵意を抱いてた事を考えると、あまりにあっさり信頼するなぁ~というのが正直な感想です。
前作での殺人の原因がアルマの人間に対する不信感であるという面が少なからずある事を考えると、一体全体あの殺人事件は何だったんだろうという気にさせられます。
今回のアルマの言動に関しては”それだけユーフロジーヌを信頼している”、”学園に同行(潜入)しても足手まといになると判断した”、”入学までの潜伏期間中に人間(現代日本人)を見てきて信頼に足ると判断した”などの想像を巡らす事も出来ますが、アルマの出番はほとんどなくその心情が語られる事も無いため真相は闇の中です。
ついでに言うとラストでアルマは屋敷に返されてしまうので今後続刊したとしても出番は少ないと考えられ、その心情が語られる機会は得られそうにありません。
以上でしょうか。つらつらと書いてきましたが、やはり前作と趣が違い過ぎて百合云々を差し引いても素直には楽しみ辛いです。
管理人は途中から「”~災難”はヒロインの一人であるユーフロジーヌの過去を描いたスピンオフ作品である」と思って読んでましたしw
まぁ管理人が学園男女ラブコメというノリが苦手というのも大きかったでしょうけどね。
正直、Ⅰ巻は途中で投げそうになりましたしr(^^;)(Ⅱ巻からは話が動き出して面白くなり、スラスラと読めましたが)
しかし・・・ほんとなんでラブコメなんだろう。前作でユーフロジーヌが男性キャラに篭絡させられそうな描写があったので、続編で男性と恋仲になっていく・・・”ラブロマンス”になる可能性はあるなぁ~とは思っていましたが・・・。
今後続刊していくかどうかが分からないので何とも言えない部分もありますが、今回の「~入学」に限って言えば作品の趣が異なる事や百合要素が薄くなったため、少々オススメし辛いです。
作品として決して面白く無いとは思いませんし、読みやすくなった面もありますが「~災難」のような趣を求めて読むのは止めた方が良いでしょう。
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あるゾンビ少女の入学 I | あるゾンビ少女の入学 | 書籍情報 | スニーカー文庫(ザ・スニーカーWEB)アニメ公式サイト
ラノベ版発売から5年以上も経過してようやく公開されるという(苦笑)
あるゾンビ少女の災難『あるゾンビ少女の災難』予告編
あるゾンビ少女の災難 アニメ化決定特報PV
2012年に公開されたPV。個人的にはこちらのキャラデザインの方がイメージに合っていたんですけどね(苦笑)
「続きを読む」です。ここは非常に個人的な感想を書いています。しかも、その内容は否定的と取れる内容です。
そのため本作を高く評価している方や百合好きは百合要素が無くなった途端に作品を否定すると思っている方は、不快になる可能性が高いので読むのをご遠慮下さい。
・・・・・・。納得して頂けましたでしょうか?では、どうぞ。
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注意書きは読んで頂けましたか?では、本作で管理人が受け入れ辛かった・・・理解し難かった点とも言えるかも知れません、を語りましょうか。
それはゾンビであるユーフロジーヌをあっさり受け入れられる指宿孝晴の神経です。
うん、こう書くと百合好きはすぐに男性キャラを糾弾するとか言われそうですよね。
実際、管理人もこの心理が完全に働いてないと言い切る自信が無いですし、だからこそ注意書きを書いた訳です。
それに不遇な境遇であるユーフロジーヌを受け入れられる孝晴君の心の広さ、愛は主人公として正しい素養と言えるでしょう。
「心に愛が無ければスーパーヒーローじゃないのさ」、「強くなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない」
という歌詞、名台詞があるように多くの作品が主人公(ヒーロー)の心に愛あれと望んでいますし、管理人もこういった主人公を好ましく思います。
だが、しかし。だが、しかしです。
いくら蛇蝎のごとく嫌っていたとは言え自らの幼馴染である小鳥遊 眞子を殺害し、あまつさえその生首を奪って眞子に成り済ましていた存在を受け入れられるというのは理解し難い神経です。
思わず「お前はtomakの主人公かーー!」と叫んじゃいましたよw
生首となった女神を育て、愛を育むという常軌を逸したゲームまぁこちらの主人公と比べれば、まだまだ孝晴君の愛は発展途上と言えるかも知れません
・・・と冗談はともかく。
いくらゾンビが当たり前にいる学園に在籍しているとは言え、それまで極々平凡な現代日本の男子学生として過ごしていた少年が受け止めるにはへビィー過ぎる事実だと思うのですが。
この点に関しても百合作品にも"人殺しの化物"を受け入れる、愛する作品があるじゃないかと言われるかも知れません。例えば「アトラク=ナクア」とか。
ですが「アトラク=ナクア」の場合、奏子の境遇が境遇ですし、あの初音姉さまとの出会い方を考えると説得力があると思います。
ならば本作では説得力が無いかと言うと、孝晴君は事実を知るまでユーフロジーヌとある程度の交流を交わし、彼女の人となりを知っているため説得力が皆無という訳ではありません。
しかし殺害されたのが赤の他人や殺したいほど憎悪している相手(眞子を嫌いっていた事は書かれていますが憎悪とまで行っていたかは疑問)ならともかく、顔見知りの生首を取るという文字通り惨殺した相手とそれまで通りに付き合えるというのはやはり・・・。
先述した通り、こう思うのは管理人の男性キャラに対する嫌悪が働いている可能性は否めません。
ですが、心身ともにちょっとした友人の域を出ない間柄の状態で、こんな事実を知って平然としていられるのはやはり理解に苦しみます。 せめて二人がもう少し交流を重ねたり、劇的なイベントを経た後でなら分からないでも無いのですが・・・。
これは本文でも書きましたが、この点からもラブロマンスならともかくラブコメになった事は非常に疑問です。(しかもⅠ巻ではユーフロジーヌ以外のヒロインとの交流も多く、ユーフロジーヌとの交流が濃密だったとは・・・)
本作からゾンビ化するのがそれほど珍しい事では無くなってしまったので、今後眞子が復活する可能性もあり、それでバランスと取ろうとしているのかも知れません。
まぁ、もしそうだとしても孝晴君の神経が理解し難いのは変わらず、もう少しフォローが欲しいところではありましたね。
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